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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十一章:魔術師の娘たち

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長いキスのその後で(色気なんて無いよ!)

「ちゅ……チュウじゃあああぁぁああぁぁあ~っ?! ウルの奴めが、ツガータと! チュウしおったのじゃああぁあぁぁあぁぁぁっつ!?」


 ヴィルマは、それを目にするや、どこかに走り去って行く。方向からして魔女たちが、暮らした家に向かったに違いない――。


(お前……お前が生まれ育った文化圏は、キスとハグの文化圏じゃなかったのか? 小学生か? いや、それくらいの歳だってのは、知っているけれども! も! なんだよ! その過剰な反応はよ! ……泣くぞ!)


「くくくくっ……、よう御座いましたね♪ ご・主・人・様♬」


 (わら)う悪魔。……お前、本当に追い返してやろうか。


 なおも首にしがみついたまま、唇に吸い付いて離れないウルリーカの額に手を当ててて、引き離そうとはするが――牡蠣(かき)のような固着力で、へばりついて離れない。


 声を上げようにも押し付けられる、こいつの口が邪魔をして、所々……まともな言葉にならない。


 悪魔にどうにかするように頭の中で命じるものの


「すみませ~ん♬ それをいたしますと私、奥様に殺されてしまいますぅ♪ あ、お邪魔虫は退散退散……」


 地面に放り出されたままの魔剣が納められていた飾り箱を拾い上げると、酷く、人をイラつかせるコミカルな歩みで――アルパゴンは立ち去って行った。


 ――悪魔に助けを求めようとした俺の……馬鹿。


 小太郎も、座っていた場所を立ち上がり、すごすごと森の中へ。


  (マズい……これはアレだ。コイツらが俺を繁殖相手として、好き勝手にしようと……大はしゃぎし始める前振りな訳だ)


 なんとかしようにも、こいつらがその気になったとして……どうにかできそうな奴なんて――この屋敷にはアルパゴンくらいしか居ない。ネルでは多分、どうにもできないし、そんなことはしない。間違いない。


 心の中で、義妹のデシレアに、助けを求めた その時――。


「ちゅぱん♡」


 ウルリーカが唇を離した。そして上機嫌で地面に突き立つ魔剣を引っ掴むと、投げ捨てた鞘を拾い上げ、その場から駆け去って行く。


「ツモーイ! 試し斬りしてくるぜぇ! うえあははははっ!」

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