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喧嘩とかには、ならないように……ね?

 様子を見守る彼女の耳に、そっと確認。


 少なくとも、こいつらに限っていえば――先日のウルリーカの掟破りに対しての制裁だのという陰惨なこととは、無縁に思うが……。


 良く分からないところも、未だに無いでは無い。端的に言って不安で仕方が無い……。


 しかし、俺の胸の内を見透かしたように


「心配は無用だ」と短く応え――そして「身体が鈍らないようにと、2人が言い出したことだ」と、小さく笑う。


 改めて彼女たちに視線を戻す。


 視線の先で子供のように木の棒を手に、腕をぶんぶん振り回すウルリーカと、ストレッチがてら、伸びを見せるスキュデリ。その身体は恐ろしい程に、しなやか。


「なぁ? クィンヒルデ。あいつらって……どっちが、強いんだ?」


 訊ねられた方からすれば、なんとも答えにくいであろう質問――けれどもクィンヒルデは、言い澱む様子も見せずにハッキリと、


「スキュデリだ」そう答えた。


 普段から、ハリネズミのように完全武装のウルリーカと、徒手空拳を流儀とするスキュデリ。体格差は、あっても……ウルリーカの方が、有利に思える。


 そんな俺の疑問に応えるでも無く彼女は、当時のことを思い出して、懐かしむかのように目を細めてーー


「私もウーラガンドを以てして、ようやく勝利できた」信じられないセリフを口にする。


(そ、そんなにヤバい奴なのか? ……スキュデリって)


 彼女の力量を疑う訳では無かったが、完全武装の――それも王都では名うての剣闘士として、鳴らしたウルリーカに、魔剣の使い手クィンヒルデと、素手で渡り合うという彼女の戦闘能力。


 既に俺の想像の中の彼女の立ち回りは、漫画の中の登場人物の立ち回りに置き換えられてしまっていた。


「「さっさと合図しろやぁー! クィンヒルデぇ! るのじゃあぁ!」」


 開始の合図を催促する声が、辺りに響く。その声に背を押されるように彼女は、対峙する2人の手合わせ開始の合図を口にした。

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