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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十一章:魔術師の娘たち

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ダイレクト裏口面接

「なぁ? これ……本当に俺も参加しなきゃダメ?」


 ネルと2人だけの食堂――テーブルの長い辺を前に座り、下らないことを考えては俺につき合わせる彼女に、居心地の悪さを伝える。


「ダメよ。アンタが連れて来たのよ? アンタが、審査に加わらないとか、逆に意味分からないでしょ」


 そりゃ、そうかも知れないけれども……口にしようとしたところで、食堂を閉ざすドアがノックされた。


「……ノックは3回。まぁ、この程度で失点するようなら見えてるわね」

「…………」

 

 以前、先生ごっこを行った時の装いに着替えたネルが、クイッっと眼鏡をなおす。

(……やだぁ、この空気…………)


「どうぞ」

「失礼、致します」


 一分の無駄も無い歩みで――俺とネルが座る席の前に置かれた椅子の傍に立つアルパゴン。


「着席して下さい」

 ネルが言い出した面接ごっこに、凛々しい表情で挑むアルパゴン。


「宜しくお願い致します」

「…………」


 静かなたたずまいで彼は、挨拶を口にする。

 この空気――耐え難い。逃げ出したい……。


「自己紹介をお願いします」


 ネルの凛とした声にアルパゴンが口を開く。

「名はアルパゴンと申します。年齢は数万歳くらい。性別は、それなりに高位の悪魔ですので御座いません」

 

 カリカリカリ! っと、万年筆を走らせる面接官。


「今までの職歴・経歴を教えて下さい」

「以前は、魔界で大公を勤めておりました。経歴は、ここ1103年ほどは……引き籠っておりました」


 ネルの瞼が眼鏡の奥で微かに動いて、減点に筆を走らせる。

(……お、おめぇ。こいつを採用する気は無ぇんじゃねぇか……)


 別に、このアルパゴンを擁護したい訳では無い。先日のヴィヴィたちの師匠の臨終の間際に、響かせた嬉し気な声を思い返せば――こいつが、どうしようもないクズ野郎なのは間違いない。しかし、で、あるならば。この茶番は一体、なんの意味があるのかと言うお話になる(ひと思いにお引き取り頂けよぉう……)

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