表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
413/1638

近所に遊びに行って、帰って来た子供のように

「――仮の名前としまして」そんな俺の考えを読み取った悪魔が少し考えつつ。


「ルンペルシュティルツキンという、昔……分霊が用いた芸名も御座いますが(……芸名?)長く呼び辛い……やも知れません。貴方様が、お名付け下さい。


 お付けいただいたお名前により、私の在り方もまた……貴方様の傍らに在るに相応しいものとなることでしょう」


 しばらく考えた後で俺は――「じゃあ……アルパゴンで良いか?」

 この気前が良すぎる悪魔の呼び名を さかしまに、そう名付けることにした。




 * * *




 うろくづの森とは植生の異なる暗いの森の中に、その家はあった。


 絵本や、おとぎ話に描かれるままの――魔女の家。


 アルパゴンの劇場から、距離はそう離れてはいないとのこと。


 例によって例の如く、デシレアに『門』を使わせて貰ったことから、その位置関係については魔術師たちと、悪魔の話に頼る以外にない。


「お師匠様!」一番に家に駆けこむゲルダ。俺たちも後を続く。


「……やかましい。バカ弟子共」

 生気を感じさせない、罵声が漏れ聞こえて来る。


 水入らずの空気に水を差すのもどうかと考え、魔術師たちが家に入ってしばらく、外で時間を潰していると――イープが姿を現して、手招きして家にお邪魔させてくれた。


 家の中の粗末なベッドで彼女たちの育ての親、老齢の魔女が横たわっていた。


「死にかけのババァの見苦しい寝間着姿で申し訳無いね。白龍ネルのつがい……」


『白龍ネルのつがい』何故そのことを知っているのかは知りようも無かったが――今は、気にしても仕方が無い。指輪からボトルを呼び出し、彼女を癒そうと考えたものの、ボトルを呼んでも指輪は、なんの反応も見せなかった。


「無駄だよ。……別にあたしは今から、おっ死ぬことに未練もなければ、普通の人生の何倍もの時間を浪費して生きて来たんだ……白龍のネルだろうと、どうこうしようもあるものかい……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ