いや、そこは笑うとこじゃね?
気が付けば、地上で待機していたハズのスコラスチカも「面白そうだったから」と、やって来て――俺の話を聞いての大号泣大会が、皆によって盛大に催されていた。
「……ツモイ。とりあえずオレと寝ろ。孕んでやるからよ……そしたら オレと産まれたガキ共で……そんな記憶とは無縁の生活を約束して……やんよ…………」
話す内容も、ひとまずの一段落がついた所で――悪魔の手拍子と喝采が、ホールに鳴り響く「……ブラァボォ。……ブゥラアァァア、ボオォオォウゥゥーッ!」
「……満足、戴けたなら何よりだ。なんかまだ、もっと他にも……あった気もするが」
「よしてぇ……私、これ以上……こんな話……聞いたら、悲しくて……悲しくて……ひとりで……寝れなくなっちゃうぅ……」
(う~ん。気の強いゲルダが、これほどの反応を示すとは……そこまで俺の人生というものは可哀想なものなのか? わりと健やか元気に人生を謳歌して来た気もするんだが……)
自分の半生を振り返っていた所。悪魔による喝采が、静かに止んで――。
「……正直なところ。未だ、私には悲しいと言う感情が良く理解はできませんが……貴方と居ればいずれ……それが分かる日が来る。その様な気がします。貴方が許さないと仰られても、ついて行かせて頂きます……」
「いや、困るし……」
「では……力づくでも、ついて行きます」
「……じゃあ、いいよ。好きにしろよ……誰ひとり、俺の言うこと聞いて、くれやしねぇ」
「恐悦に御座います」
悪魔は、ついて来るつもりらしかった。神だの悪魔だの――目の敵にしているアイツのことだ。絶対、文句を言うのが目に見えてはいるが(……なんて言おう)
すると俺の考えを読み取るなり「奥方様への貢ぎを、御用意させていただきましょう。しばし、お待ちを……」
そう言葉を残し、劇場の床に身を沈ませて悪魔は消えて――しばらくすると、再び皆の前に姿を現した(あぁ……やっぱり本当に、悪魔だったのか)
「今日の素晴らしき日に感謝し、これを貴方様に……」




