遺跡へ行こう!
「……なんたる、なんたる侮辱! なんたる暴言! 清き水の湛えは、アオコが浮かぶ、澱んだ水を清涼な浄水に変えるほどの進歩を! 新たに修得した傷まずの糧は、傷みの早い食材を炎天下に置いておいても……少なくとも……ここ数日は……鮮度を維持しているというの……にっ!」
「すまん。個人的に、お前の魔術に凄く興味が湧いた。帰ったら……ちょっと、色々と話をしようじゃないか? 乳製品とか……いけるのか?」
予想外の言葉だったのか、その言葉に――なぜか頬を赤らめる眼鏡の三白眼。
喧々囂々と喚き始める。ダメ魔術師共。
そしてなんだか……ここ最近。ヘビィ級の愛を向けて来るようになってきた、ウルリーカから漂う――殺気。
準備を整え終えたことを確認し終えると、俺たちは遺跡の開口部から――内部へ。
* * *
足を踏み入れて少し歩くと――遺跡の様子は一変。あえて例えるなら、これが……適当な表現かどうかは判断に迷うものの。
さしずめ豪華な劇場か、オペラハウスのような感じ。
通路を歩いて下を目指すと、ゲームのように敵など現れることも無く、それぞれが用意してきた武具を振るう機会ひとつ無く、最下層に辿り着く。
ぼやきたてるオークの娘たち。
最下層、恐らく中央に位置する両開きの扉を押し開くと、そこは絢爛豪華なホール。ステージを前に並ぶ観客席。上を見回し、辺りを見ると、ボックス席がステージを見下ろす形で並び、先に抱いたイメージ――オペラハウスと言う表現がぴったりな場所。
赤い緞帳が下ろされ、閉ざされたステージの最前列で――そいつは腰掛けていた。




