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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二章:シルウェストリスへ

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怒りの大仏

 しゃきっ……しょきっ……しょきん



 ――穏やかな陽気の、ある日――


 森の中の(ひら)けた場所に建つ、住まいの前に椅子を置いての散髪も、これで何度目になるだろう。


「終わったわ……」くぐもった声が、散髪の終了を告げる。


 髪を切って貰っている間、読んでいたエルフの言語について記された、古い本を閉じて、手鏡を覗く。


 必要無いことは分かってはいたが、そつなくカットされた髪を一応、確認。


 鏡の中には──髪を切り終えたばかりの20代の姿の俺と、量販店で購入した、緑のラバー製の大仏マスク(4980円)が映っていた。


 大仏は、無言で散髪に使用した道具を、手際良く片付け始める。


「……おい」太々しいことに──、声をかけても大仏は、なんの返事も返さない。


「おいってば、そこの大仏」


「……………………」


「触れるのも嫌だったから黙っていたけど、もー限界だ。なんなんだ? そのマスクは? 日がら一日、そんな物を被りっぱなしで、どーゆう了見だ? 蒸れないのか? 暑くは無いのか?」


 俺が矢継ぎ早に、そう声をかけると──大仏の方も我慢の限界とばかりに勢い良く、食ってかかってくる。


「蒸れるわよ! 暑いわよ!」


 自慢のブロンドを汗で顔に貼りつかせたネルが、マスクを忌々しげに脱ぎ棄てて、地面に叩きつけた。


「一体、なにがどーした? 言ってみ? ん?」


「……い、言わなきゃ、分からないの?」

 

 ネルが怒りに身体を、わななかせる。


 そして実のところ聞くまでも無く、ネルが不機嫌な理由については見当がついていた。 


(こりゃ、まずい……)


「い、いくらアタシたち、龍が……気の長い種だからってね……。なんなのアンタは?! つがいのアタシをほったらかしたまま『やれ、ごはん』だの『やれ、耳掻きしてくれ』だの『本を借りて来い』、『星の位置が整った? なら俺のカードで、トイレット・ペーパー買って来い。あぁ……量販店じゃなくて、ドラッグストアで安い奴な?』だの……なんでもかんでも……アタシにばかり押し付けて……」

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