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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十一章:魔術師の娘たち

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断章

「……こないな……朝早くから……なんやのん」


 欠伸交じりで、髪を結ぶどころか、寝ぐせも直さずに、玄関ロビーにやって来たヴィヴィは――眠たげに目をこすり、朝一の悪態をつく。


「これ……」


 渡された小冊子を手に口元の艶黒子(つやぼくろ)をわななかせ、震えた声を上げたのは――相変わらず、格好の付かない前髪が悲しい……イープちゃん。


「……どないしたねんな」


 問いかけるヴィヴィに答えるでも無く、姉のギアネリが口を開く。


「これ……断章や……」


「なっ?!」


 眠気まなこの三白眼(さんぱくがん)を見開いて、眼鏡を服の裾で磨くと、渡された冊子を目を皿のようにして読み込み始めるアスタ。


「……ほ、本当だ」アスタの声は――ブルース・ハープのヴィブラートのように震えに、震えていた「……鬱陶しく感じる訳がついてるけど……こ、これ……だ、断章」


 その言葉を合図にして彼女たちは、顔をお互いに突き合わせると、一斉に食い入るように冊子に目を通し始める。


 ただ一人――ヴィヴィを除いて。


「……旦はん。ひとつええか?」


 普段から眠たそうな口調と目をしたギアネリが――しかし、よどみを見せない調子で。


「……あんたはん。一体、何者やねんな」


 ――簡潔ながらも大変、返事に詰まる質問。どう答えたものか……。


「ちょ、ちょっと待ってよ……」ゲルダの怯えた声「これだけの数の……呪文が記された断章読んだりなんかしたら……私たち……ひとりも、まともで居られる訳無いじゃない……」


 恐怖が彼女たちに伝染するのは一瞬。どよめき始める彼女たち――。


「あぁ……大丈夫、大丈夫」


 彼女たちを安心させるには、適当かどうかは分からなかったが――昨夜、陶片でデシレアにも訊ねた話を、怯える彼女たちに聞かせる。

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