それはそれは、えらい気のイイ魔女のおばちゃんでやな?
「……自分、よ~もまぁ……。こないな、ベタベタの話に引っ掛かりよるよなぁ……素直過ぎて、おねぇちゃんのウチは、心配やでぇ……」
はしゃぐ気持ちは、察っすることができたが――流石に食事時に合わない、やりとりの騒々しさに我慢できなくなったのか、ネルが彼女たちをたしなめる。
叱られて少し、悄気返る彼女たちに、先ほどゲルダが口にした『目的』についてを聞く。
ゲルダは、その俺からの問いに――応えるべきか、口をつぐむべきかを、少し躊躇ってみせていた様子だったが、横合いから説明を始めたヴィヴィのお陰で、それは徒労と化していた。
呆れた表情を浮かべ、パクパクと酸欠の金魚のように口を動かすゲルダを余所に――ヴィヴィは自分たちの境遇と旅の目的について語って、聞かせてくれた。
「ウチらなぁ? 口減らしを兼ねて村の側に住んどった、森の魔女にイケニエに差し出されてん」
食事時だと言うのに――存外にヘビーなお話。
聞きたくなかった……。
「ところがやな? その魔女、えらい気のイイおばちゃんでやな? 事あるごとに村から送られてくる娘っこ……まぁ、ウチらやな♬ 片っ端から連れ帰っては面倒見てくれて、世話焼いてくれよってん」
(……良かった。グロ展開は無しか)
「ほいでやな? 魔女のおばちゃん。ウチらをここまで育ててくれよったんやけど、寄る年波~って奴や。少し前に寝込んでまいよってん」
寝込んだ年寄りひとり置いて、お前らは出て来たのか? と聞きたい所だったが――その話の先によるならば、その心配は無用事らしかった。
「でやな? おばちゃん元気づけたろーって、ウチらな? おばちゃんが長年研究続けて、ようやっと見つけた、古い遺跡の中調べて――」




