その金額に震える
「……? どれくらいになるの? ねぇ」
スコラスチカに服をつままれ――説明を求められるが……俺はそれどころでは無かった。指輪から陶片を呼び出す。
「「「「「「 ?! 」」」」」」
指輪から呼び出した陶片を手に取るまでの一連の流れ――スコラスチカに怯えて壁にへばりつき、部屋の壁紙に必死に同化しようとしていた6人が、それを目にして驚いたような気配を漂わせていたようにも思うが……今は、それどころでは無い。
「トキノ! 計算。通貨単位! 円=アレクサンドラ金貨を換算!」
俺が、計算に必要なデータを聞かせるや、平気で俺の隠しフォルダのことを――デシレアにバラしやがったロクでも無い、この小娘は、即座に答えを導き出したのか、
「ぱぱぁ……お耳貸して?」舌ったらずな声。
「……………………」
真っ白になりそうな頭で、耳を近づけて――固唾を吞み下す。
「あ・い・し・て・る♡」
「黙れアホ。さっさと、いくらに成るのか教えろ」
俺の言葉に「9桁程度の計算を娘に聞いておきながら!」と、きゃんきゃんと喚き立てる。
やり取りを眺めていた有栖川さんは「差し出がましくは御座いますが……」と断った上で――アレクサンドラ金貨394枚に+端数として銀貨600枚にもなる、買い取り価格を提示してくれた。
「一ヶ月で……1億1千……840万円……」
目の前がホワイト・アウトしてしまい、俺は呆然。
この額の宝くじが一度、当たったとしても同じ反応になるに違いない。
それが――ひと月単位で、支払われることになる訳だ。
「ねぇねぇ? 私、人間のお金良く分からないんだけど? 凄いの? あの子に服……買ってあげられる?」
スコラスチカさんに、否……。




