色気をふり絞られましても
「オレを闘諍で降したんだ……無理矢理にでも……強者の種を孕ませて貰うぞ! ツモイ!」
こいつが……考え詰めた末に、こう言う行動を取ったのであろうことは……まあ理解できる。ネルと話はつけた? それも……まぁ、この時点にくれば、おおよその内容は想像がついた。
しかし、俺は。ウルリーカの一大決心とも、蛮勇とも、勇み足とも取れる彼女の、この行為に対して――非情にも。
爆笑でもって、応えてしまっていた。
「なっ?! なに笑っていやがる!? 有り得ねぇだろ!! オイ! ゴルアァ!!」
「ひっ♬ や、やめて! 死、死んじゃう! 俺、死んじゃうから! ぐははははははははははははははっ~~~!?」
「ふざけんな! マジふざけんな!! どんだけ勢い込んでオレが……」
「あひぃ~っ! ひいぃ~~~っ! やめて! その顔で凄まないで! 死ぬる! 笑い死ぬからぁ~~~~~~?!」
「オレが……不細工だってカァアアアアアァァァァッ!?」
「ち、違っ! かっ鏡っ! 鏡っ!? ひいぃ~~~っ! ひいぃ~~~っ!」
「……分かった」
ベッドの上で笑い転げる俺の上で――怒りに、ぶるぶると身を震わせ、ウルリーカは咆哮を轟かす。
「ツモォイっ!! てめぇを殺してから死んでやるァ!」
両手で首をしめようと差し伸ばす腕を――必死に掴んで阻み、ギリギリと寝室で鎬を削る俺たち2人。
……が、笑い過ぎで呼吸もおぼつかない。おまけに女性とは言っても、オークの筋力に人間の俺が抗える訳も無い。
扉が勢い良く開け放たれ、息を切らしてネルが、クィンヒルデとスキュデリを連れて――部屋の灯りのスイッチを入れる。
「ちょっ!? ウルリーカ! あんた! なにやってんのよ?! プレイにしたって激し過ぎでしょ!(……プレイとか言うな) こら! やめなさい! やめ……やめなさい!」
「止めてくれるなァア、嗚呼ッツ!」




