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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十章:名も無き森のアラーニェ

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彼女のプワゾンの香り

 眠りを妨げられるのも遠慮したかった俺は、枕の半分を無血開城するように明け渡し――寝返りを打って、腰をおろした彼女に背中を向ける。

 

 少しすると、もぞもぞとベッドに入り込み、甘えるように背中にしがみついて、いつものようにくっついて来た。


 あちらで購入したディオールの「優しい毒」の甘い香り。

 テスターで気に入って、購入したネルが好きな香り。


 ……こうして、2人くっついて眠っていると、ネルたちが用いる「つがい」と言う表現。


 体温と穏やかな寝息を的確に伝える表現に思え……て…………。



 ――唐突。


 背中を向ける俺の身体を、肩を掴んで強引に仰向けにすると、馬乗りに跨って――彼女は胸に顔を埋めて来た。


 疲れ果てて……就いた深い眠りから突如、引き上げられたかのようなーー高い水圧に暮らす深海の魚が、浅い深度に無理矢理引き上げられるかのような……。深度差、いや違う……しんどさ。


 いつものように、また欲求不満でも溜まっているのだろうと察するものの……眠たくて仕方無かった――。


 しがみつくように胸に顔を埋めて、馬乗りになった彼女の髪を撫で……今夜は…………お相手を……………………、ご辞退……申し上げ…………


 彼女の髪を撫でる手から――感じる違和感。


 億劫さから目を閉ざしたままで、違和感の正体を手で探り……突き止めようと試みる。


「……ふぅ~……ふぅ~っ! ふうぅ~っ!」


 不可逆的な……と言った感じの、一方通行に強くなっていく彼女の吐息。


 どうやら……寝かせて欲しいなどといった泣き言は――いつものことで、許しては貰えないらしい。きっと自慢のロケットおっぱいを夜通し、暴力的にまた振るわれ続けるのだと、諦めようとした……そんな時。

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