金髪眼鏡女教師 どやっ♪
「……もう、いいかぁ?」
「まだよぉ。もう、ちょっと待ってぇ~?」
この世界のことを教えて貰うことにした俺だったが……準備があるといわれて、家の外に追い出される俺。
ネルが『領域』と呼ぶ、この土地は──夜に窓を開け放ったままでも、虫1匹飛び込んで来ない。
お陰で、いつもは家の戸もドアも、開け放たれたままだったのだが……今は、窓を閉じる木板の支え棒まで取り払って、締め切られていた。
(……準備って一体、なにを始めたんだ?)
気になった俺は、内緒でこっそりと家に近づいて、窓を閉ざす板に、そお~っと指をかけようとしていたの……だが?。
「ちなみに今、中を覗くと、アンタ死んじゃうからぁ~」
「……死?」
ネルの言葉に……嫌な汗が、一気に噴き出す。
板からそっと指を離して……家から静かに離れる俺。
……中で、何をしているのかは分からないが……コイツが言うことだ。
あながち、その言葉が冗談とも言い切れない。
(覗くだけで、人が死ぬような危険なことを……お家の中でしないで戴きたい)
──家から、少し距離を取り、お呼びがかかるまで待つこと、数分。
「もう、入ってイイわよ~?」
俺の緊張を余所に、ネルは呑気な声をあげる。恐る恐る俺は、家に近づき……ドアの取っ手に手をかける。
家に入るとタイトスカートに網タイツ、胸元を大きく開いたドレスシャツに、装いを変えたネルがスタンバイ。
目は悪くも無いクセに、怜悧な印象を与えるフレームの眼鏡まで掛けて。
「どやっ♪」
「……ネル?」
「どやっ♬」
家の中には俺しかいないと言うのに……わざわざドヤ顔で、色々とポーズを取って見せてくれるネルさん。
(そんなに称賛を浴びたいのか? この欲しがりめ)




