ゴルゴを超えろと仰る?
――無情に進むカウント。俺は、デシレアの前にひれ伏して、完全土下座形態に移行。
「今日これから! 真面目に! 一生懸命に! 射撃の練習に取り組むと言うことで!! なにとぞ! なにとぞ! プランCで、お願い致します!」すりすりすりすり床に額を擦りつける。
「……よろしい」ふんす! と、小さく鼻を鳴らして、俺の申し出を受け入れてくれる義妹さま。
「それじゃあ、とりあえず……頑張って……う~ん」小さな桜唇に、指を当て――なにかを考える、そぶりのあとで
「0.02秒以下のタイムの抜き撃ちで……ダブル・タップは、できるようになってね? ターゲットの距離は600mくらい先でだからね? おにーちゃん♪」
小さな手と手を打ち合わせるようにして、いつもの屈託のない無邪気な笑顔。
「……それは人類に……実現可能なレコードなのです……か?」
* * *
デシレアのお許しがいただけるや、俺は跳ね起きるように立ち上がり、彼女が屋敷の中に設けた――俺は、物見がてらに一度、立ち入ったきりのシューティング・レンジのある部屋へと走る。
部屋の中にはガラス壁に両サイドを仕切られた、7台のレーン。
ターゲットを自動的に回収する、リトリーバル・システムの距離は、最大18m。
扱い方が分からないので、台の上に置かれたまま埃を被っていた(……多分、有栖川さんが置いてくれたものなのだろうが)
取り扱いについての書き付けを収めたファイルを読み、ターゲット・ペーパーをレーンに吊るしてスイッチを押す。まずは7mの距離から始めることに。
指輪から回転拳銃を1丁呼び出し台に置くと、部屋のロッカーに積みあがる、弾が包装された紙箱を3つほど掴んでレーンへ。




