でも、お仕置きはエゲつない
「おにーちゃんに選ばせてあげる♡ トキノちゃん経由で入手した、おにーちゃんの隠しフォルダの中身の鑑賞会を、みぃんなで♪ 行う……が、お仕置きA」
「ちょっ?!」
「もうひとつは、ウルリーカのしでかしたことを、わたしがバラしちゃう。これがお仕置きB」
「や、約束が違う!」
思わず声を上げたが、デシレアは冷たく言い放つ。
「約束? おにーちゃんに口止めはされたけど、それを守るなんて一言も言ってないよ? 契約書か、なにか残ってるの? 有栖川に聞いてみてあげようか?」
(……ぐぅ。流石は辣腕の経営者さま。容赦無ぇ)
「……わたし、あの子のこと……ウルリーカのことも怒ってるんだよ? 思わず領域の外にウーシア……本来の姿で出て行って、辺り一帯もろとも、卑金属に変えようかとも思ったんだからね」
暗に――お仕置きBを選択することに、なんの躊躇も無いことを匂わす義妹。
「ハイ♪ 選んで☆ おにーちゃん♡」
この段階で、元の可愛らしい口調に戻ったところで……余計にコワイぞ。
軽口めいた非難の声を、いつもであれば……余裕が有れば口にしたのかも知れなかったが――。今の俺に、そんな余裕は無かった。
常識で考えれば、迷う余地も無くお仕置きプランA、一択ではある。が、それを選択したあとでの、この屋敷での俺の立ち位置は――。
(……アレは《喪服よさらば》だけは、断固……。いや、でもそれだと……。えぇ?)
「ほら♪ おにーちゃん早くぅ」デシレアの無慈悲な催促。
「おおおぉぉおぉぉっ……お……」
「ちなみにぃ~? 制限時間わぁ♪ 残り10秒です」
「ま、待って! 待ってくれ! デシレア?!」
「待たないよ? 6……5……4……」
 




