お叱り顔も可愛らしい
「でも……正直、マージンとか貰える御身分じゃないと思うぞ? 俺」
この子に受けたありとあらゆる厚遇、御厚意を考えれば――。
「それはそれ。これはこれ」
そう前置きしたあとで、今度は彼女は俺に詰め寄って、厳しい口調でお叱りの言葉を並べ始める。
「……おにーちゃん。わたし、知ってるんだからね」
(お叱り顔も可愛らしい。娘に欲しい! ネルの奴……産んでくんねぇかな……。マジで、娘ガチャとしてはSSRクラスじゃあるまいか?)
「おにーちゃん! そんなこと今『考えて』もごまかされないよ! アレほど言ったのに! 銃の扱い練習して無かったでしょ! その結果どうなったの!」
「……あっ。ハイ……。大変な目に合いかけ……ました……返す言葉も……御座いません……です…………ええ、ハイ……」
「おまけに……わたしがあげた甲冑も、その他の武具もどうしてたの! 斧槍は! 盾は! 剣は!」
しおらしくして見せたものの――デシレアの追及は、容赦無く続く。
「2領の甲冑は玄関ロビーの……インテリアとして……置きっ放しに……。盾や斧槍は…………壁の飾りに…………したままで……剣は……ツォンカパのがあるし、別に持って行かなくてもイイかなぁ? ……と思いまして、部屋のタンスの横に……立てかけたままに……してました」
それを聞くと義妹は周囲の全てを和ませる「にこっ♬」とした笑顔をハイ・アングルで浮かべる。
お叱りはこれくらいでお許しいただけるのだろうかと言う、ホッとした気持ちと、少しばかりの残念な気持ちを同時に味わう……が――。
「悪いことしたのが、分かればそれでいいなんて……わたし思わないの。おにーちゃん。信賞必罰は、集団や組織や、群れには必要なものだと思うの」
「……えっと?」




