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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十章:名も無き森のアラーニェ

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糸車を回すアラーニェ

 スコラスチカが楽し気な鼻歌を歌い、蜘蛛の下半身の腹部に存在する――糸疣(しゅう)と呼ぶらしいが、出糸突起の前に存在する篩板(しばん)から、糸を吐き出し続けていた。


 それを傍らに(ひざまづ)いた有栖川さんが、古風な糸車を回して一纏めにして、できた束をデシレアに見せつつ、小声で、なにやら話し合っている。


「……充分な太さかと。染料には草木を用いるか……デルクスか、ラナセット……いえ、イルガランを用いて染め上げれば、宜しいかと」


 珍妙な生物を胸に抱き、顔を埋めてしばらく。まろ眉を✔ マークを思わせる形に、しかめ続けていた可愛らしい(あるじ)が頷く。


 主従での検討結果を伝えるデシレア。


「スコラスチカ? 貴女の糸を買う。希望する価格を教えて。契約書については有栖川に聞いて」


 どうやら商談は成立のよう。


「ハ~イ♪ それじゃあ色男さん? 色々、教えて?」


 有栖川さんは、スコラスチカを伴って別室へ。


「しかし、蜘蛛の糸で……紡績を……ねぇ?」


「わたしの力では、実現が難しい素材特性を持ってるし貴重だと思う。おねーちゃんの領域にいる限り、糸は疲れ知らずに吐けるだろうし……充分な生産量の確保が見込めると思う」


 この小さな経営者様は、慧眼(けいがん)をくりくりと輝かせてみせる。


 鉄の5倍の強度とナイロンの2倍の収縮性、加えて生体素材と、その応用範囲をデシレアは語って聞かせる。


「あっ!」なにかを思い出したかのような声「もちろん、この領域あってのことだから……ん~……でも、おねーちゃんにお金渡すと、絶対お酒に変わっちゃうよね……」


(流石! 良く分かって、いらっしゃる!)


 デシレアは再び、眉を鋭角に傾けると


「おにーちゃんの、あのお家(旧母屋)を貸して? そこでスコラスチカに糸を紡いで貰う。それなら、おにーちゃんにマージン支払えば、それで良いよね?」


 見事な迂回策を提案。


 そして実の妹に、ここまで信頼されないアイツも一体なんなんだ……。

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