オマエら、オークの都合なんて知るか
「……おー。お前の親父を始めとして、お前らオークは、信じられない迷惑を俺にかけてくれやがるからな。気が気じゃなくてな」
ぜぇぜぇと、4~5回も息をつく頃には息は整い体力も回復していたが――ボヤボヤしていると先程のチビ共が、戻って来かねない。帰りの遅くなった、このオークの娘に立ち上がって2~3言い含めて、早々に屋敷に戻ることに。
「俺はおまえに闘諍で、勝った……ってことで良いな? 間違いないな? この上、まだなにかあるなら、泣くぞ。泣き喚くぞ。俺は」
「異論は無ぇ……。掟破りの資格を失った身で、仕掛けた闘諍ではあるけどな」
「よし。じゃあ、森の中でのことは他言無用にしろ」
「……はァ?」
理解できない言葉をつぶて代わりに投げつけられたかのような表情。
「お前たちの習わしに……わざわざ従ってやった上で、命令したからな? 守れよ? 絶対だぞ? スコラスチカも、ネルも……あとはデシレアと、やたら勘の働くヴィルマもおやつで買収しておいた。俺の小遣い相当使ったんだからな? 洩らしたりしたら、マジで赦さんぞ」
「掟破りは……追放のごつい烙印を押した上で、腕なり脚なり潰して不具にしてから、放り出すもんなんだぜ?」
「知るかアホ」
「言い出しそうな気も……まぁ……してたけどもよ。かなり格好悪ィぜ? これ」
「それも知らん。恥を抱えて、ちったぁ慎ましく生きろ」
「……はぁ。わかったよ……。とりあえず腹一杯、食わしてくれたら手を打つよ」
「口止め料を要求できる立場だと思ってんのか……」
「木っ恥ずかしい生き様を取れってのは、ツモイの都合だろ? 別にオレは掟通りで、良いんだぜ? 最初からそのつもりだった訳だしよ」
「おまえら……父娘、揃いも揃って……、俺に迷惑かけるために生まれてきたのか……。遺伝か? それは親父の遺伝子がそうさせるのか? 何番目だ? 塩基配列の何番目に、そう書き込まれているんだ」
「相変わらず……あんたが、なに言ってんだか訳わからねぇよ……。もう早く帰ってメシ食わしてくれ。メシをよ。肉が食いてぇ」(こ、このバカ娘……)




