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深い森の奥で、血の雨を

「――オレは、クィンヒルデには……まぁ負けはしたけどよ? あんたとは()りあったこともねーし? 負けたこともねーし?」


 そして抜いた剣をこちらに向けて、父親にも劣らない血の気の多さをうかがわせるオークの娘は――はつらつと(のたま)う。


「……ま、他に邪魔も入らきゃ、しきたりしきたりと、小ウルセー奴らも居ねぇ森ん中だ……。オレに注文打ちの斧槍(おのやり)戦鎚(せんつい)を諦めさせたかったら、ぶっ飛ばして見せろよな。――相手して貰うぜ。ツモイ」




 * * *




「離れてろよ!」


 一言、スコラスチカに声を飛ばすと俺は、ウルリーカが投げた邪悪の塊を、突き刺さった幹から引っこ抜きにかかる。幸いにもそれは、少し力を込めただけで抜くことができた。


 スコラスチカは、アっと言う間に木の上に退避。ウルリーカも、そちらには目もくれず顔に喜悦を浮かべて、獣のように俺に駆け寄って来る。


 幹から抜いた方とは別の、俺に襲い掛かって飛び去って行った、もう一本の方に向かって俺は走った。こんな無駄に刃が多い形状の武器が――ましてや、使い捨てが前提の飛び道具が、斬り合いで強度を保てるとは思えない。


 実際の斬り合いというもので――絵空事のようにテニスのようなラリーが交互に、長々と繰り返されることが、起こり得ないことは「あいつ」に嫌と言うほど叩き込まれた。実際には「1度」の機会に役立てば、それで充分なのは分かってはいたが……。しかし、予備は欲しい。


 もう一本もすぐに回収することができた。


 森の中での思いもよらない追い駆けっこ。背後から迫るウルリーカの気配は感じたが、具足を身に纏っていたことが災いして、背後から斬りつけられる距離まで追いつかれる事も無く――俺は、なんとか逃れて、森の茂みの中に身を隠すことに成功。


 陶片のカメラ・モードで、茂みに身体を隠したまま様子を伺う。


「どこ行ったぁーっ! ツモーイ!」

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