……笑って済まされると思うなよ?
大方、『陶片』の中の娘っこ共が、この武器オタクを拗らせるオークの娘に、入れ知恵をしたか「オススメ」したに違いない。
武器が飛んで来た方向から、下草を踏む足音と、具足の鳴る音。そして、背中に束さんだ、先ほどの投擲武器を(まだあるのか!)
――どうやら、それは腰のあたりに柄が来るようになっているらしかったが、必死に引き抜こうと格闘して、悪態ひとつを吐いて諦めた様子。
「や~っ? 悪ぃ悪ぃ♪ 隣のよ? 綺麗処を狙ったんだけど、外れちまった」
「……俺に当たったら、どうするつもりだったんだ」
流石に笑っては済ませ難かった。自分の言葉に怒気が混ざっていたように思う。
「どーせ、死なねぇんだろ? しばらく前に姐さんに聞いたぜ? 前にコタローのかーちゃんに、頭潰されたこともあるってよ」
悪気など、微塵も感じていないという風に。
「……死なないにしても……スッゲぇ痛いんだが」
「細けぇこと気にすんなよな?」
へらへらへらへらと……どうしてくれよう……こいつ――。
「どうしてお前、ここが分かった……」
「んー? あー……」
どう答えてイイか分からない、そんな顔。ウルリーカは指輪から陶片を呼び出すと――。
「……オイ、ゾーチョーテン? ツモイになんて答えれば良いんだ? お前の説明、オレぁ……半分も分かって、ねーんだけどもよ?」
しばしのミーティング。そして説明と理解を諦めたツォンカパの娘は、陶片の画面をこちらに向けて説明を丸投げ。
画面の中で増長天という厳めしい名前にしては、ふりふりの装いを身に纏う、少女のアバターが、舌ったらずな口調で話し始める。




