回転する凶器 【Picture】
俺の問いかけに――しまった、という表情を浮かべたのちに「身体は健康よ♪ しばらく前に、脱皮も綺麗にできたしね♫」俺の腕に片腕で抱きついたまま、反対側の腕を伸ばして
「ほぉ~ら♪ 綺麗でしょ?」
水を弾きそうな瑞々しい女の肌を自慢げに披露。
「脱皮って、上半身まで含めて脱皮するのか? んん? でも……健康に問題は無い、永遠に生きるのは、持て余しそうで考える、……ってんなら、またどうして?」
話しながらに森を歩くお陰で、息が切れる。途切れ途切れになり出した俺の言葉に、彼女は腹を決めたように口を開こうとしたかに見えた――そんな矢先。
一緒に暗い森を歩く、俺と彼女の側の木立の幹に、甲高い金属音が鳴り響き、残響をたなびかせた――そこには信じられないほどに邪悪な形状の、四方八方に鹿の角のように刃を伸ばした、武器。
スコラスチカは、見えているのか振り向くでも無く、背後から武器を投げた相手に対して
「あら♫ 可愛らしい方♡」と、暢気な声。
彼女と組んで歩いていた腕を振り払って、急いで背後を振り向く。
同時に先ほどの武器とは――その邪悪さという点では、微塵も引けを取らない形状の、異なる武器が、俺に向かって唸りを上げ、回転しながら迫って来る。仰け反るようにして間一髪、回避することに成功。
(マンベレ!? フンガ=ムンガとか、クピンガとか言う……アフリカの投擲武器か?!)
ツォンカパに教えられた、この地の一帯で用いられる武器に、この武器は無かった。
……と、すると――。
「ウルリーカァ?! てめぇ!? 当たるところだったぞ!! ふっざけんな!」




