どう信用して貰ったものか
「……それじゃあ、お話にもならないじゃない。私、徘徊性って訳じゃないのよ? 外敵を相手にするなら、網が張れる森の方が都合が良いんだけど? 貴方が……お身内のために、私を森の外に連れ出そうとしているって考えちゃうわよ? 私」
――それをどう担保するの? スコラスチカの御意見は御尤もなもの。俺だって彼女の立場であれば間違いなく、そう考えちゃう。
「まぁ……私の身の安全を担保するなら、貴方の首に糸でも結わえて……危険を感じたら――きゅっ♪ っと引くなり、首筋に噛みつくなりして毒を流すなりすれば良いだけなんだけど……」
信用して良いものかしらね? そんな悩み顔で頬に手をあて首を傾げる。そして、わざわざ担保になりそうな事柄を、ご親切にも彼女が提示してくれていたというのに――俺は、
頭、お花畑にもーー
「あ、ゴメン。それじゃ君の身の安全の担保にはならない」
「……ん?」
どう言うこと? 彼女の表情は暗に、そんな感じの事柄を伝えていた――。
「毒とか窒息とか、……あとは頭を木っ端微塵にされても……俺、死なないんだよ」
「なにを言ってるの? 貴方」
御尤も。御尤もな問いかけ。
こんなことを口にするようになるなんて、本当に俺も……どうかしたものだった。
「……訳、あってさ? ちょっとそっとじゃ、死ねないんだわ俺」
* * *
――理解不能。そんな「ん?」と、言った表情を彼女は、浮かべて見せていたと思う。
「……さて、担保……担保ねぇ。どーしたもんだか」
腕を組んで、賢くも無い頭を捻り、唸ってみせているとスコラスチカが『突っ込まずにはおられない』そんな感じで話しかけて来る。
「ねぇねぇねぇ?」なにやら興味津々と言った感じの彼女の様子。
「ちょっと待っててくれるかな? スコラスチカさん。担保……担保……」
考えあぐねる時に感じる頭頂部に湧き上がり始める――どんよりした鈍痛のような頭の重さを感じつつ、必死に良い案を捻り出そうと試みる。




