続々・チョロインの血族
それはパンケーキの付け合わせにするつもりだった、厨房の冷凍庫に入れていたハズのアイスクリームがヴィルマによって、全て平らげられていたからという……大変、しょーもない理由が存在する。
焼いたパンケーキに、コンビニで購入したアイスクリームを、削るようにして掬って梨型に整えた物を添え、おやつとしてデシレアに振る舞った、そのあとでのこと――。
「おにーちゃんと、おねーちゃんを……。パパとママって、この子は呼ぶんだよね? じゃあ……わたしは、この子にとって……おばさまになっちゃうの? おにーちゃん?」
フォークの歯に残るアイスをしゃぶり、しゃぶり、返答に窮することを訊ねられ、考えて返した言葉は――ぼやけた解となってしまっていたように思う。
「……いや、流石にそれは酷い。続柄は、デシレアにとって……姪っ子には、なるのかも知れんが……」
「め!? 姪っ?!」驚いた声を上げ、翡翠の髪を乱して、こちらに顔を振り向ける「いや、便宜上……便宜上な。落ち着けぇ? 気を悪くするなよぉ?」
「じゃ……じゃあ……おばさまじゃなくて、おねーちゃん……って呼んでいい?」おずおずとトキノが上げてみせた提案にデシレアは、まんざらでも無さそうな表情「わたしの姪……おねーちゃん……。ど、どうしよう……ちょっと……う、嬉しい……」
「デシレア……おねーちゃん……」
「ハイ! おねーちゃんです! ハイ! 姪のトキノちゃん!!」
「……あのね? ぱぱのPC……古くて、ちょっと重たいの……」
「おねーちゃんに任せて!」
言うや、止めるのも聞かずに、たすき掛けに提げた可愛らしいポシェットを漁る彼女「パラジウム・カードぉ~!」
――見たことも聞いたことも無い、金属の光沢を放つカードを取り出して、掲げて見せる。




