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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二章:シルウェストリスへ

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腐ったトマトみたいに

 後ずさる足の裏で何かを踏む感触──


 バキイィ!


 信じられないほど、大きな音を立てて、落ちていた朽木が折れて砕けた。その音を耳にした子熊が一瞬、驚いて身をすくめる。


(しまっt)


 そう思った瞬間、母熊は大きなうなり声を上げ、鳶口を並べたような分厚く、大きな鈎爪で──俺の頭を一薙ぎ。


 バシャ!


 泉のほとりで俺の頭の中身が、ぶちまけられる湿った音が響いた。




 * * *




 切妻屋根の我が家の、古ぼけた天井が見える。

 どうやら俺は、ベッドに横たえられていたらしい。


 気分は、悪くは無かった。


「具合はどう?」


 ベッド脇に腰を下ろして、ネルが顔を覗き込んでくる。

 

「……いや、特には」


 覆い被さるように抱きついて来る、柔らかな感触。


「…………」


 鼻をくすぐる、ネルの髪の匂い。


 そして、跳ね上げられた窓の木板の外からは、対照的な獣の臭い──


「ん!! ん!? ん?!」


 ネルに抱きつかれたまま、慌てて そちらに首を巡らせてみれば


 そこには窓から こちらを窺う、先程の母熊。


「ネ、ネ、ネ、ネル……く、熊……」恐怖に、舌が回らない。


「花さんのこと……ゴメンね」


「お……お前のペットだったのか?!」 


「ペットという訳では、ないのだけれど……」


 申し訳なさげに言い澱んで──この恐ろしい母熊との馴れ初めと、関係についてを聞かせてくれた。


「以前、ここから……だいぶ離れた一帯が、旱魃に見舞われたことが……あったんだけど……。花さん食べる物が、見つからなくて……仕方無く、出会った農夫を食べちゃったことが……あるらしいのね? それから、周辺の村々の狩人に追い立てられて、命からがら、ここに逃げ込んで来て以来、住み着いてるのよ」


「……ひ、人喰い熊と、御近所付き合いしてるのか? お前、頭オカシイだろ……」


「御近所付き合い? ……う~ん」


 なにやら考え込むネルさん。

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