続・チョロインの血族
デシレアの この反応は……いわゆるアレだ。アレな訳だ。
自分が一丁前だと思っている子供の頃に「ハイハイ♬ ひととせ君は、これを頼もうねぇ? 旗が付いててカッコイイよぉ~?」的な感じで、お子様ランチ出されて「ぐぬぬっ」と感じる――大人扱いされなかったことに対する、芽生えかけの自尊心を傷つけられた怒りと(……いや、デシレアに限っては、芽生えかけの自尊心とか、的外れもイイところに違いない訳だが)、くやしさが綯い交ぜとなった混沌とした感情って奴か。
彼女に対してどう謝ろうか、必死に考えていると、デシレアはすぐにそれを「……そんなことじゃないし。気にしないでイイ……。全然違う」と否定。
その言葉をそのままに、果たして受け取って良いものかどうか……。
「気にしないで欲しい」
そう言われて俺は、ハイそうですか♪ 気にしません♬ ……などと考える人種では無い。その場合「気にしなきゃ泣くぞ!!」と言っているものと考えるのが、普通にすら思う。
しかし、そんな心配を余所に「……思えば、生まれてからずっと。……抱っこされたことなんて無かったし……凄く、びっくりしただけ」デシレアは、自身が見せたおかしな様子についてを聞かせてくれた。
なるほど。見た目は小さな女の子のそれでも、その実160億年にも及ぶ、長い時間を生きた、龍が――彼女な訳だ。
「抱っこしよう」「抱っこしてみせよう」などと、挑む者も居なかったに違いない……。
(……ってことは、生前の俺は……デシレアと面識は無かった訳か?)
「おにーちゃん!!」
突然のデシレアの子供特有の高音域の声に、物思いに耽っていたところから、現に引き戻される「あぁ……うん? どうした? デシレア?」
「どうしたじゃ無いんだよ! おにーちゃん! わたしね?! またもや、すっごい御機嫌なの! 御機嫌メーター・マックスだよ! メーターの針振り切れちゃってるよ!?」




