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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
九章:ネオコグニト

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自尊心踏んじゃった?

「大盤振る舞いみたいだけど……いいのかよ?」この子のサービス過剰に思える、いつもの心づくし。申し訳無さを感じるやら、不甲斐無さを感じるやら。


「うん♪ いいよ。ちょっと……ウチの銀行で不手際があって、イライラが溜まってたんだけど……無駄遣いしたら、少しスッキリできたしね♬」


 自身の銀行の損失? で募らせたストレスを無駄遣いで解消する、この子の感性に呆れるものを感じつつも彼女を抱き上げて、その御厚意に対して素直に礼を述べる。


(……、――?)


 抱き上げた瞬間、目をまるくしたまま、表情を固まらせて黙り込む義妹。


 以前、この子の髪を撫でた際に見せてくれた、喜びに喜んでくれた――あの時とは異なる反応。


「……おにーちゃん。下ろして……」


 言葉少なげに、抱き上げた俺の腕からデシレアは降りたがる。


 床に降ろして立たせてやると、俯いたまま身動きもせず……真顔で、なに事かを考え込む様子で、佇んでいた。


 慌てて謝ろうとしても「……うぅうん。違うの」と、気にしないでと言うばかり。


 その様子に、ウルリーカとスキュデリは顔を見合わせ、デシレアの顔を覗き込むようにしゃがみ込む。


「……御屋形様? これは……その……」


 言葉を選びながらと言った感じで、諭すように俺に声を掛けるスキュデリ


「か、構わん。構わんから言ってくれスキュデリ。俺は、デシレアになにか、やらかしちまったのか?」

 

 これほど……世話になりっ放しの義妹に――何かとんでもない粗相(そそう)を働いてしまったのか? 自らのいたらなさを思って……泡を食う。


「……あ~ぁ、こりゃアレだわ」


 ウルリーカですら察してみせた!? 俺はそれほどにアホの子だったのか……。


「ツモイよぉ? 抱っこは、マジぃだろ? 抱っこは……。分かる分かる。オレもそうだったぜ。子供扱いされるってのは、なんてぇか、こう……屈辱ぅ~!! って感じで、目の前がこう……真っ黒か、真っ赤に染まっちまって、そうなるもんだよなぁ」

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