紙の厚さ、文字の大きさ
シルウェストリスの製本技術とは異なる、現世の近代的製本技術で作られた、これらの本は、一枚一枚の紙の厚さからして違っていた。
本の厚さもさることながら、文字サイズも印字によって小さく抑えられ――結果、本棚に大きな余裕をもたらした。
(けれども、これはこれで……なんと言うか……寂しいかも知れない。
本棚を埋めるため……メルトゥイユに、彼女の宗派の教えについて記された本でも借りて、トキノにまとめさせても良いかも知れない。忘れないようにスマホのメモに、そのことを書き入れる。
(それならヴィルマにヴードゥーについて聞いて、トキノに本にして貰うのも良いかも知れな……い。いや、ダメだ。その過程でトキノが、ロクでも無い言葉使いを学習してしまう。ヴィルマの……あいつの言葉使い、会話内容は本当に……酷い。酷すぎる。トキノが、ヴィルマからでは無く、ネットを通じてそういった言葉使いを学習することも当然、考えられはするが……それとこれとは、別問題だ)
しばらくの間、考えた後で図書室を後にして再び、ぶらぶらと屋敷の中をうろついて回り、玄関ロビーに差し掛かってみれば
丁度、ギルドの仕事を終えて屋敷に帰って来たウルリーカとスキュデリ、そしてデシレアの3人が向かい合って、なにかを話し合っていた。
「……どう? 貴女たちを走査したデータを元に、仕立て直してあげたつもりだけど」
「なんだか訳分からんがスゲぇな♪ 流石、姐さんの妹!」
「……よ、宜しいのですか? 私たちがよろず屋で、見繕った……もののぐ以上に……その、上等過ぎる気がするのですが?」
「気にしなくていいわ……。視界に出来の悪い品物があると……こう……放って置けない性質なの。おにーちゃんの群れの家族に、みすぼらしい格好もさせてられないでしょ?」
「……言ってくれるじゃねぇか。でも、あざっす! ざっす!」




