そして、野に解き放たれた
「構わん! 世界を見せてやるぞ!」(どうせ何かあればネルたちが、なんとかするに決まってるしな!)
俺の迷い無い口調と決断に、その意図するところを計りかねているように、どう反応を示すべきかと、トキノは移ったスマホを熱くし続けた。
(……あれは、あれだけは皆に知られるのはマズい!『喪服よさらば』は……内容が、マニアック過ぎて、皆に知られると……皆に知られると……)
今や離れと化した、かつての俺とネルの住まいの『門』を用いて、デシレアの住まいに移り、現世で俺が住むアパート近くの公園に転移する。
アパートに戻り、ノートPCを開いて電源を立ち上げ、トキノをPCに移すとーー
「ご、御馳走が一杯!」画面の中で、恐らく俺にも分かるように視覚化した情報のイメージを構築してみせてくれたトキノは、せわしなく
それらを見回して興奮した様子。嬉しそうに、はしゃいでみせる。
「……じゃあ、トキノ? 俺は、お家に帰るけど。あまり派手なことはしないようにしてくれよ? あぁ……あと、ちゃんと自分のバックアップは小まめに取るんだぞ?」
俺は、浮かれた声を上げっ放しのトキノと、ノートPCをアパートに置いたまま。シルウェストリスの我が家へと戻っていた。
* * *
――数日後――
コンビニのコピー機を酷使して、ヴィルマのため、彼女の趣向に合わせてしつらえた「サイコパス鬱きゅあ・マックスダークと学ぶ、優しいシルウェストリス共通語 ~初級編~」をプリント・アウトして屋敷へと戻る。
ホッチキスで止めた簡易なものだが、ヴィルマはアニメのキャラクターが大立ち回りする挿絵が描かれた、そのテキストに目を輝かせて喜び――暇を見つけては、こちらの言葉の勉強を開始。
(言葉使いはアレだけど……根は真面目な奴ではあるんだよな)




