理解不能な このシチュエーション
あれから何日が、過ぎただろう……。
あの夜、初めて出会った(ハズの)間違い無く、確実に、俺に似つかわしくも無いブロンドの美人〝ネル〟を
なんだかんだはあったものの、背負ってアパートに連れ帰り、帰り着いた頃にはもう、すっかり酔いから醒めていたネルと講義もバイトもサボってSEXに次ぐ、SEXを繰り返すだけの怠惰な毎日を繰り返して過ごしていた。
ゆきずりも、ゆきずりの彼女をなぜ、あの時──
すんなり、自分の住むアパートに連れて帰る気になったのか……。
今となっては、その時の心境を良く思い出せないでいた。
酩酊した状態のろれつも怪しい女性を、言われるがままに運んで……。
部屋にお持ち帰りするなどといった、行動を取ることができるほど、肝の太い人間では無かったハズなのに……。
そもそもが……だ。
ここまでグイグイ行くことができる、行動力を普段から発揮できていたなら、これまでの人生で彼女の一人や二人は、出来ていたに違い無い。
恐らく……多分。
最初の頃こそ「こんな展開あり得ない」「絶対に、なんかの番組の一般人を相手取った……どっきり系の仕込みだ」「昔、聞いたエイズ・メアリー的なナニか?」「どう考えても人違い」などと考えもしたし、警戒もしたし、童貞の常時発動スキル『ヘタレ』も、遺憾無く発揮されたものだったが……。
(こんな展開あり得ない)⇨「はぁ〜い♡ 現実逃避はやめようねぇ♪ 現実、現実♬」
(絶対に、なんかの番組の一般人を相手取った……どっきり系の仕込みだ)⇨「……今のご時世、こんな仕込みをドコがやるのよ? あり得ないでしょ。バカ」
(昔、聞いたエイズ・メアリー的なナニか?)⇨「……ぶっ飛ばされたいの?」
(どう考えても人違い)⇨「……あ〜。まぁ……。アンタがアタシのことを覚えていないのは仕方無いことだし、分かってはいるんだけどねぇ……。百千万億 春夏秋冬さぁん♪ 人違いじゃありませんよ〜?」