なんの取り柄も無い男だしね! 仕方無いね!
いよいよ、やることが思いつかない。
これはアレか? 企業戦士として、日夜忙しく働くお父さん方が、休日にはやることも無く家に篭って――ゴロゴロする以外にすることも無くて、家族に非難を受けると言う……流れだったりするのか?
わりと……それは避けたい。
ただでさえ女所帯で俺の肩身は、ひっじょ~ぉに狭い。もっと真面目に考えよう……。
――クィンヒルデのお手伝いをする。
……ダメだ。アイツが魔剣を振り回している時には、そばに近づきたくない。無闇に近づけば大怪我を負う。痛いのは嫌だ……。
――日頃のお礼にデシレアに、お菓子でも作って届ける。
これもダメだ。今、厨房にはネルが居る……。追い出された上で、アイツに作業を肩代わりされて、ぱぱっと手際良く片付けられて――俺が、それをやる意味合いは……まるで見当たらない。
アンタ! 邪魔だからどいて! ……と言われる的なアレだ。
というか……デシレアはしばらくの間、仕事があるので家を空けると言っていた。お菓子を作って届けたくても、届けようが無い。
デシレアの好意で、使わせて貰えることになった彼女の『門』。
指輪さえ嵌めていれば、これを使うことができるようにはして貰えてはいるが……行ける場所はというと、デシレアの家と、現世の俺のアパート近くの公園に、ネルが勝手にひっそり設けた『門』の2カ所――のみ。
家主も有栖川さんも居ないのに、彼女の家に行って、なにをするんだ? と言う話になる訳で……消去法で行ける場所は――現世の日本一択。
考えつくのは……。何かをあちらで調達すると言うことになるけれど、現世でも色々と伝手を持つ、デシレアの協力も無しに、大きな買い物をすることは避けたい。
兎角、税のことは良くわからんが……。
税務署がやって来て――それをあちらに住む家族に知られるとなると……金の出所を追及されて、色々と詰む気がする。




