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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二章:シルウェストリスへ

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泉へ

 芋の細長い蔓を、手で引いてから、丸々とした立派な芋を掘り起こして、手で土を落として笊の上に転がす。


 すると今、掘り返したばかりだと言うのに、畑の崩れた(うね)の中には、もう大きな芋が、ゲームのバグか、グリッチか なにかの如く、元からあったかのように、そこに現れていた。


 このことをネルに問い質すと


「ここは、私の存在で満たされた領域だから、シーズンを問わず、畑のお野菜も果物も実り放題。放し飼いのロキシーさん……鶏さんのことよ? 気合い入れて、卵を、じゃんじゃん産んでくれるの。み~んな私のために、その身を供物として捧げて、奉仕してくれるの。凄いでしょ~? 食費0よ? 食費0。エンゲルさんを顔真っ赤にして、キレさせる自信があるわ♪」


 信じられないことに、そんな風に──まるで、冗談みたいに軽々しく。


 しかも、この畑に実る作物は、ネルから──


「必要な分だけね?」


 と、だけ言われてはいたが、連作障害のようなものとも無縁に、際限無く収穫ができるらしい。


 その上、味も地味 豊かで、どれもこれも大変な美味。


「……でたらめにも、ほどがある」


 何十種類もの作物に、麦に、果樹が、節操無く過密栽培される この100平米程度の畑ひとつあれば、食うに困ることは一切無いだろう。


 派手さには欠けるが、彼女の見せる――神の御業そのものな力を、いつの間にか受け入れ始めて、感覚が麻痺しつつあった俺は


(この小さな畑一面で、世界に、とんでもない影響を与えかねないのでは?)


 そんなことを漠然と考えつつ、いつもの泉に収穫した野菜を洗いに向かっていた。




 * * *




 泉は小屋から歩いて そう遠く無い場所で、蒼い清水を滾々と湧き出させていた。


 底の水が湧き出している箇所では、細かい砂利が水の勢いで、激しく巻き上げられ──吹き上がるのが見てとれる。


 水を汚すのは気が咎め、泉から流れ出す小さな支流の、出来るだけ下流に陣取って、野菜に付いた土を洗い落しにかかる。

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