この子には、頭が上がらない 【Picture】
できた妹からのもっともな御意見に対して――この姉はどうしようもなく子供じみた様子で、舌を出してみせる(ホント……どっちが、おねーちゃんなんだよ)。
「あと、この屋敷を建てる場所に生えてた木は、全部引き抜いて一箇所に積んでおいたからね? それと排水周り。浄化槽は造って置いたから、それはおねーちゃんが、微生物さんたちにやって貰うなりして、どうにかして? 体積物に関しては定期的に『門』で、適当な場所に飛ばすようにはしておいたから」
「らじゃ!」とはいえ俺と腕を組んだまま、敬礼なんてものを妹相手にみせる所を考えれば……機嫌は悪くないらしい。
「……ホントに分かってるのかなぁ」疑わしいものを見るまなざし「おにーちゃん? おねーちゃんってウチの、ぴむぴむ以上にしつけがなってないんだから、ちゃんとお願いね?」
鉄砲玉のように駆けて行ったヴィルマの声に呼ばれて、デシレアはそちらへと向かう。
「……お前、あの珍妙な生き物以下らしいぞ?」
「ま、姉の偉大さなんて、妹に分かるハズないわよ♪」
* * *
自分の『巣』に帰る前に、デシレアは俺に銀色に輝く鍵をくれた。
この屋敷全ての鍵を開けるマスター・キーと説明して、それを俺の指輪に『結びつける』
「……おにーちゃん。怖がらなくても、わたしが作ってあげた銃が暴発して、どうとかそうそう無いし(……稀にはあるんですか?)指輪の中で爆発とかも無いから、ちゃんと仕舞っておくんだよ? いざってことになったりしたら、困るのはおにーちゃんだよ?」
呆れ顔で叱りつつ、姉の手には金色のマスター・キー。
「なによ? アタシが金の鍵で、この人が銀の鍵なの?」
ネルは豆鉄砲を喰らったように目をぱちくり。
「……普通なら、おにーちゃんが金の鍵って言いたいの? でも、おにーちゃんのミスリルの鍵に比べたら、金なんて卑金属みたいなものじゃない。メスは人間のオスを立てないとダメなんでしょ?」




