女神が外道、龍も外道 終わってる世界で売られる修道女
「………」メルトゥイユは空を仰いだまま。
「貴女の……信仰に捧げるその心……確かに見させて頂きました」
「………」夢遊病者の様な面持ちで、彼女は女神に顔を向ける。
「貴女の……その身を捧げて頂けますか?」
「その身を捧げて」このネルの〝領域〟やって来る前までの――それまでであったなら、その言葉の意味するところは、まるで違っていただろう。
信徒にとっては、素晴らしくも誇らしいものであったハズだ。
けれども今、ネルに提案を持ちかけられた後では、その意味するところの内容は、まるで形を変えてしまっていた。
女神自らによって否定された自身の信仰を――改めて認められた彼女は、涙を浮かべて首肯。
間違い無く、メルトゥイユは変容する以前の意味で、女神に対する絶大な信仰の元に、女神の言葉を そのままに捉えているに違いない。
「ありがとう……」
「待てっ?! 待てって!? オイ!!」
そのやりとりに対して必死に、異を呈した俺の言葉は、誰にも耳を貸されることは無かった。
「何が、ありがとうだ! バカ女神!」
女神は、ゆっくりとネルに向きなおると――穏やかな表情で。
「あっ♪ お待たせして、すいませ~ん」
「良いのよ♫ 気にして無いわ♡ それでそれで?」
「あ、えぇ~ハイっ♪ 喜んで、その身を捧げてくれると言うことになりまして……」
「あらっ♫ ホント? なんか悪いわね~ぇ? 催促しちゃったみたいで……ホントに? 申し訳無いわぁ~♪」
「いえいえいえっ! 滅相も無いです! それで……あのぉ……」
「分かってるわよ♡ 任せておきなさい? 癒しの分配量は、1割増しにした上で……そうね……あんたの宗派の及ぶ範囲に、大豊作もサービスでつけてあげちゃう!」
「ほ?! 本当ですか?」




