この3人相手に、どーせぇと?
「あーアンタ……五月蠅い。クィンヒルデ? あんたたち? その人連れて、部屋に戻りなさい。なんだったら代わる代わるに無理矢理、襲っちゃっても良いから。お姉さまであるアタシが許ぅす♪ 特別よ♡」
「「『なっ?!』」」
「さっ♪ 五月蠅いのも静かになったわね。どうするの? 女神様♪」
「そ、それは……」
「アタシは別に、どちらでも良いのよぉ?」
ネルは心底、どうでも良さそうな表情を女神に見せ、
「……ただ、癒しの力をカットされたら……あんたの信者ちゃんたちは、困っちゃうんじゃないかしらねぇ?」
頬に手を当てて、小首を傾げて見せて――まるで『私は親身になって、考えてあげているのよ?』とでもいった、そぶりで
「明日から……貴女の信者ちゃんたち。転んで膝小僧を擦りむいて涙ぐんでも……知らないわよ?」
女神を篭絡しにかかっていた。
「……………………」
「ホラホラ? 早くなさいな? どっちにするの?」
「お前ら待て! ネル! お前、マジで洒落にならんことを、言ってるからな?!」
言ってはみたが、それが限界。今や、俺は3人の手練れに囲まれて――それどころでは無い。
「ど……ど、ど、どうしちまうよ……」
「あ、義姉上様からは、お許し頂けたのだ……ここは……はぁ~っ♡ ……はぁ~っ♡」
「む……『無理矢理襲っちゃっても良いから』と言うところに……こう……オークの血的に? 繁殖欲かきたてられる……ぐっと来るものがありませんか? 流石の……粋な計らいですよね……3人で一斉にと言うところも……また……ふぅ~っ♡ ……ふぅ~っ♡」
(……いかん。丸腰で、こいつらをどうにかできる気なんて……まるでしない)
血走る目を俺に向ける3人。囲まれて身動きも取れない。
俺たちを尻目にネルに言われるままに腹を決めた女神は――一言、ネルに断ってから、修道女メルトゥイユの元に向かい歩を進めた。
「……我が僕、メルトゥイユ」




