鼻っ柱をへし折るトリプル・チャージ
結果、引き金を引いた瞬間。目の前に拡がりつくした、燃焼ガスの閃光で、視界はホワイト・アウトし、発砲と同時に肘を起点に跳ね上がった銃が、顔面を強打し
鼻梁を打って、俺の鼻っ柱をそのままの意味で……へし折った。
(こ、こんなの……扱うとか……無理っ……)
傷はすぐに治る身体ではあっても……痛い思いをしたその経験のお陰から、これらを収めた指輪ですらも、身に着けることを躊躇うまでになってしまっていた。
義妹が、わざわざ好意で仕立ててくれた、これらを無駄にするのは後ろ暗い……。
かといって「護身用に」などと言って、女共に手渡すのも……自分が扱いに困るからと押し付けるようで……格好悪すぎて……考えてしまう。
仕方無く……この4丁との付き合い方を一応、模索することにした次第な訳だった。
(やっぱり、日本人って……争いごとには、向いてないと思うな)
もたつく手並みで、12個のスピード・ローダーに弾を装填し終えた俺は――有栖川さんが用意してくれた什器としてのトルソーに掛けられたホルスターに、銃を納めると、スピード・ローダー用のホルダーにいくつかを納め
残りは、そのまま、まとめて納屋に放り込んだ。
オイルで汚れた手を洗って、おやつでも食べようかと思って泉に向かおうとした、そんな折り。
「あ! 御屋形様! こんな所に!」息を切らせてスキュデリが駆け寄って来る「早く! 早く! お越しください!」
「……どったの?」
スキュデリに言われるままに連れられて、たっぷり体感で数㎞四方はある、ネルの領域と、うろくづの森の境まで走らされると……そこは最悪の空気。
ネルとデシレアの姉妹喧嘩の あの時に感じた険悪な空気が、またもや渦巻き
さらには、それに血の気の多いウルリーカに、クィンヒルデまでが加わり、ヴィルマが、その様子を面白おかしそうに無責任に囃し立てると言う
一言で言うなら「勘弁してくれ」と言った この状況。




