第三世界並みの生活なんて無理だから
「あら? そお? ……でも、アタシと……。その……また、つがってくれることには……不満は……無いの?」
ごねる俺をどう説得しようか、口説き落とそうかとネルは、考えてくれていたのかも知れなかったけれど……。俺にしてみれば──そんなことは、本気でどうでもイイことで。
「……はっきり言おう。俺は、お前の中身には一抹の不安を覚えるが、そのロケットおっぱいを含めた、外見的要素ならびに、期待できるエロエロなナイトライフは、それらをペイして余りあるものだと確信している。そんな訳で、これからも何卒よろしくお願い致します。末永く、宜しくね」
「……ほ……ホントに?」
……こんなロクでも無い告白の、何がそんなに嬉しいのかね? ネルさん? 頬を紅く染めて、口元を両手で覆うほどのことですか?
「むしろ俺みたいな奴のために……再び巡り合うため苦労をしてくれていた様子。感謝の言葉も無い。本当に……ありがとう」
感極まった様子のネルは、丸椅子を蹴って立ち上がる。
「……でも、こんな風呂ひとつ無い第三世界並みの環境での暮らし、現代日本での生活に慣れ切った俺には無理だ」
「……あ。やっぱり? そこですか」
「おぉ、その一点に尽きるね」
ネルは一度立ち上がった椅子に──ストンと再び腰を落とした。
* * *
続く家族会議ならぬ、つがい会議。
「つまりシルウェストリスと言う、この世界は──俺が住んでいた元の世界……えぇ……っと、便宜上『現世』と呼ぶぞ? そちらとは、全く交わらない、隔絶した世界だから……こちらで、どれだけの時間過ごしたとしても、『現世』では全く時間が経過することは無い……そう言うことか? 浦島太郎くん的なアレか?」
「えぇ。その逆もまた、同じことになると思うわ」
「思うわ……って。……確かじゃないのかよ? 不安になるぞ」




