つがいだから
(解ってる……。お前が心配して……苦労してまで、俺を迎えに来てくれたのも、分かってる――でも……な?)
今や心苦しさで一杯といった顔で、俺を見上げるデシレアに視線を落とす。
(……嫌なんだよ。お前のつがいなんだろ俺? お前たち姉妹が、ギスギスした関係のまま暮らして行くってのは……。だから……俺は。お前に……言わなくちゃいかん)。
臓腑の底まで一杯に息を吸い込み「人は、おっぱいのみに生きるに非ず!!」ホールのミスリルと、アダマンタイトを痺れさせる大喝を放つ。
「なっ?!」
目を見開き驚愕の表情で、ネルは固まっていた。俺にいつも、特効を発揮する、自慢のおっぱいが通じなかったのだ。その驚きと衝撃は――ネルにとって、如何ばかりであったことか……。いや、まぁ……少なくとも? プライドに、ヒビを入れることくらいは、できたのではなかろう……か?
「気付いたんだよ……ネル……おっぱいの大小に……貴賤は無い……ってさ」
本当は今、すぐにでも目の前の、ネルのその胸に飛び込んで……顔を埋めて
「ひぃやっほおぉぉおぃ♪」
……と、明るく元気に、久しぶりにイチャつきたいところではあった……が! ここは心の中で、血の涙を流してでも――ひとまずは、こう……嘘っこな? 立ち位置的なものでも? 盾に? コイツに対峙し、断固! 言うことを聞かせて見せねばなるまい。
許せ……許してくれ……おっぱいよ。
交わされる、やりとりを目にしつつ。なんのことやら解らないと言った感じで――自分の胸を手で「すっすっ……」っと、撫で下ろし
鼻を垂らしたままの お顔で、なにやら考えるデシレア。
「脱法ロリ? 大いに結構。俺は以後の生涯……大好きな……甘い物が食べられなくて苦しむ、この子のちっぱいに……寄り添って生きて行く」
悟りを開いた聖者の表情で。
「あ、アンタねぇ……」
「去れ! 邪悪なる巨乳!!」
(ごめんなさい……ごめんなさい……心にも無いこと言ってごめんなさい……おっぱいさま……ごめんなさい……)。




