怖いおねーちゃんだねぇ?
「……そうか」
「そうよ……」
俺とネルのやりとりを、おろおろした様子で、嗚咽を漏らして見上げる義妹。
「……じゃあデシレア? 俺も、お前と一緒にラグドゥネーム? ……良くわからんが、それ食べて一緒に暮らすことにするわ」
「「 ?! 」」
二人共に驚きから、どこから出したのかも分からない様な、おかしな声を上げる。
デシレアは――俺に罪悪感たっぷりな表情を向け……。
――ネルは歯噛みして。
「……アンタ、自分で何言ってるのか……分かってるの?」
「解ってるよ~? ね~デシレア♪ 俺と、お前と、有栖川さんの3人で、ココで暮らそうなぁ?」
「え゛っ?!」有栖川さんから素直過ぎる――驚きの声。自分も頭数に加えられたことを驚いたのか「んっ! んんっ! 失礼。もちろんで御座いますとも……。この有栖川、お嬢様と運命を共にする所存で御座います」咳払いひとつ、すぐにいつもの様子を繕ってのけた。
俺の提案を聞いて、デシレアは見上げながらに首を横に振る。
「……だ、駄目。おにーちゃん……駄目……」
「こんなコワイおねーちゃんには、さっさと帰って貰って、お部屋に戻って遊ぼうな?」
「……アンタね」ネルが、落ち着きを取り戻そうとしてか――深い息をひとつ吐く。
「そうやって……アタシを適当に揺さぶって、言うことを聞かすつもりでいるのかも知れないけど……そうは、いかないわよ?」
「べっつにィ~っ? 俺はただぁ~、この風呂付きの物件でデシレアと暮らす~って、だけのお話ですぅ~ホラホラ? お姉ちゃんは帰って帰って♪ デシレアも借金払って貰ったから、もうお姉ちゃんに用事は無いよなぁ?」
(その内、ちゃんとした形で返すからな。アテは思いつかないけどもさ……)
「アンタが……」
悔しそうな空気は漂わせて「そんなぺったんこの洗濯板で、この先、不満も持たずにいられるものかしらね?」ネルは自信たっぷりに、挑発的な視線をこちらに向けてみせる。
――けれども。




