それ……アイドルって言うんですかね?
「どーゆうことなんでしょう? 有栖川さん?」
「……恐らく……では御座いますが。お嬢様は、百千万億様の住んでおられた世界で、緑龍会と言う結社のアイドル(アイドル?)をなさっておられまして……。御姉様は、そこに繋がれたままだった『門』を使って……こちらに、お越しになられたのではないかと、推察致します」
「緑龍会?」聞いたことも無い。
「戦前、戦後、日本とナチスの橋渡しを行い、枢軸国同盟の成立に一役買った結社と……聞いたことが御座います」
(なにそれ……怖い! って、それって……アイドルなの?)
「アタシが、目的を遂げるためには……。なりふり構わないのは知ってるんじゃなぁい? まぁイイわ……ハイ♪ 借りてたお金。熨斗付けて返してあげるわ」
ネルが手にした革の鞄を放り出すと、中からは――いかがわしい匂いしかして来ない、金の延べ棒がゴトリ、ゴトリと転がり出て
「もっともコレ……身の程知らずにも、アタシたちに歯向かって来た、あんたのペットたちの所に、あったものだけれどね♪」
高笑いに次ぐ、高笑い。お前……悪役似合うなぁ……。
「ゆ、許せない……」身体を震わせ、お目々に怒りを灯すデシレア。
「あぁら? なぁに? アタシに切れてるの? お門違いよ? ……龍が執着する『対象』をかっさらって行ったのよ……アンタ。妹だからって……タダで済むと思ってんじゃないでしょうね……」
腹に据えかねることを、噛んで吐き出すように――。
「……なんか俺たち観戦モードっスね。有栖川さん」
「わたくしたちでは、どうしようもありませんので……。近寄ると危のう御座います。死んでしまいますので、お離れ下さい」
「……おねーちゃん如きが、本気でわたしに勝てると思ってるの? わたしたちの中で一番弱いクセに……龍としての闘争能力も、なにもかも全てを引き換えにして……生命の存在に貢ぎ続けてる、おねーちゃんが……」
アイドル⇨
絵面的には『……御前』と、呼ばれる
フィクサー的な おじいちゃんたちが
車椅子に座って、サイリウムを振ってる
様子が目に浮かびます。




