その工学的パワー無限大
「はい。冗談で御座います」
人を食った笑顔で、にこやかな笑顔を浮かべる。
「推測と申しますか……ほぼ間違いないとは思いますが……。百千万億様は、こちらに渡って来られた際に『門』なる物を、お使いになられませんでしたでしょうか?」
「『門』って……あの黒い……こう言う形の奴ですよね?」手で八角錐のオブジェを描いて見せると「はい。それで御座います」
「その『門』で御座いますが……お嬢様が御自身でお作りになられる『門』は、世に出回るそれらとは、比べ物にならないグレードでして。ほぼ常時、行き来が可能となっております」
「い、イイなぁ……それ」
素直に声となって漏れ出していた。それさえあれば星の位置を気にすることもなく、トイレット・ペーパーを買い逃したからといって、おしり拭きの麦わらを叩く必要も無ければ――毎日、風呂に入るためだけに日本にだって帰れる。
「はい。チャンネル……と、お嬢様は申しておられますが、行き来できる場所、世界の数も巷に存在する、それらの『門』などとは、かけ離れた数を誇る伝説にも謳われる『門』で御座います。そのような訳で御座いまして、お訊ねになられました、こちらの箱は……」
Amazonの箱を手で示す彼。
「百千万億様が、お生まれになり、お育ちになった世界の、アメリカにもいくつか御座います、お嬢様のお屋敷に、電話1本で届けさせた品と、種を明かせば、そう言うことに相成ります」
「あちらにも……屋敷?」
どんだけ金持ってるんだよと。それよりも俺が知らないだけで、龍なんて存在が普通に、存在していたことに、驚くべきなのかも知れなかったが。
「大変な資産家であらせられますよ? こちらでも、あちらでも――ちなみに」彼は、ちらりと俺の手に視線を移し
「……百千万億様のお手の指輪。あと他にも何やら瓶のような物を、お作りになられておられたことも御座いますが……。それらをお作りになられたのも、お嬢様であらせられます」
「マジか」驚いて手の指輪を見る(何でも、できちゃうんだな……あの子)
素直に感心。
 




