一番最初に考えるべき武具
「……あ~。戦いに負けた者は、全てを勝者にって……アレか? ……気にすんな。ウチのモンに持たせるんだから。お前たちの闘諍の理屈からも、外れはせんだろ?」
いちいち面倒臭いこと、この上なかったが……その説明に納得したのか彼女らは、それぞれ金を受け取ってくれた。
「んでだ?」テーブルに着く面々を見回し。
「街で大体の生活に必要そうな物は買って来たつもりだけど……他に必要な物なんかが、あったら言ってくれ――」
「お~♪ 中々、立派なヤリ部屋が納屋に出来上がっておったのぉ♬」
(黙れ! 褐色ロリ!)
「その辺、スキュデリにお願いもしたんだけど、細々した所は、やっぱり分からんもんだと思うからよ」
必要な出費についての意見を求める。
「あぁ……あと」3人に銀貨を9枚ずつ渡す「それでお前たち、街でブーツを作って貰って来てくれ。それぞれ3足ずつだ」
良くわからんけど……。ツォンカパが言うには、履物ってのは、一番最初に考えるべき『もののぐ(武具)』らしいからさ」亡き恩師……? の言葉を思い出す。
彼女らは気にする様子もなく、ほとんど裸足で普段生活していたが、金ができた今、
……用意させておくに越したことはないだろう。
物を作るに当たっては、完全手工業生産のこちらの世界。必要になったからと買いに出ても、手に入るかどうかは判らない。
ならば、門が使えるようになってから、現世でお安く買う。……ということも考えはしたが――街で出会った修道女のメルトゥイユのような、目端が利く人間に
文字通り「足元を見られて」この世界に存在し得ない工業製品の履物を目にされた結果、アレコレ痛くもない腹を探られるのも、考えものに違いない。作らせよう。作らせるべきだ。
「ガブガブくん!」
「却下だアホ」
「……え~っと。なんか……正直、言い出し難いんだけどよ。……オレの……もののぐ。手入れに出したいなぁ~ってな? 思う訳よ。頼める……か?」




