薫り立つ品々
途端に「わぁ♪ 森の外は危険が一杯で、素敵です♬」嬉しそうに背負った荷物を地面に下ろし、屈伸に伸びをしながら、軽いストレッチを始めるスキュデリ。
「……正直さ? あんまり心配してないんだけど……」
女性に対する気遣いとしては、まるで足りない言葉を、躊躇うこともなく口にしていたものだったが――。
「相手、刃物持ってるみたいだけど大丈夫? ……あ、できれば殺さないでくれな?」
「問題ありませんよ♪ 御屋形様は御覧になられていて下さいね? すぐに終わりますので♬」
綺麗な笑顔で、そう答えたスキュデリはアッと言う間に間合いを詰め、まるで盗賊連中を、ぬいぐるみか何かで遊ぶ子供のように、吹っ飛ばし、振り回して片付け始めた――いや、散らかし始めた。
「……世の中……バカも多いもんだな」
* * *
「薪割りの斧が1丁……手斧が2丁……脱穀用のから竿が1……短剣が3……槍? 狩りのトドメで使うのかコレ? ばっちいな……1。きったない服が8着に、くっさい靴が8足、フケじみた帽子が2、汗染みがついたベルトが2。……水袋が3……鞄が3。財布らしいポーチの中には、銅貨が合わせて9枚。食べる気が起きない干し肉が、5切れ……と――」
スキュデリが叩きのめした、盗賊たちの身ぐるみを剥いで――武装解除をし終え、量販店だったかホームセンターで以前購入した、麻の細紐で全員の親指を、きつく縛りあげる。
「お疲れ。怪我ないか?」
明らかに、彼らでは相手不足だったのだろう、汗もかいていないスキュデリには、必要も無さそうな労いの言葉。
「怪我ですか? ありませんよ~♪ あ、干し肉! 戴いてもよろしいですか?」
目敏く、盗賊の所持品の中から、干し肉を見つけ出した彼女に「こんな干し肉食べて、お腹壊されても困るからダメ」NGを飛ばす。
 




