お金が無い……。
我が家は、ありとあらゆる物が不足していた。
差し当たっては家具類、そして家で暮らすことになった彼女ら、オークの娘たちの下着などの衣料品等。現世に戻れば、すぐに片付く問題ではあったものの……。
ネルによれば、次に帰れる星の位置が整う、その日までには、2週間はあるとのこと。プレァリアと言う小さな街が近くにあることを、彼女たちに聞くことができたが――現金が無い。
甲斐性の無い所を、女性陣に見せるのは少々、恥ずかしいものがあったが……。こちらの世界、シルウェストリスの住人であるネル、クィンヒルデ、ウルリーカ、スキュデリの4人に持ち合わせを伺う。
それぞれの小さな革製の小袋の中身を、テーブルに並べて見せる。ウルリーカが銀貨3枚に銅貨20枚、クィンヒルデとスキュデリは、併せて銅貨7枚、ネルは……なし。
「……おい」伝説の白龍様に詰め寄る。
「なんで……お前が一番、金が無いんだよ?」上手くもない口笛を吹き鳴らし、知らんぷりを決め込もうとする、コイツへの追及を俺は緩めなかった。
「……昔、言ってたよな?『大きなお城に住んでたけど、それを知り合いの領主に買い取って貰った』ってよ? ……その金は一体全体、どこへやった?」
「話に……聞いたことがある……」思い当たる節があるといった様子で、クィンヒルデが何かを口に出そうとした――瞬間。
「ちょっと! クィンヒルデ! あんた! それ以上話したら、絶対許さないわよ!」ネルが火を噴く凄まじい剣幕で威嚇。助けを求めるクィンヒルデの視線。
「構わん。お前の主である俺が許す。話してくれ。話しづらいなら……ウルリーカ? スキュデリ? コイツをしばらく、摘まみ出してくれ」
――バタバタ必死に暴れ、抵抗するネルを、荷物でも運ぶかのようにして、笑顔で連れ去る2人。
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