お乳……搾りましょか?
「お前の話は……大体、分かった……」しがみつくネルをそのままに「……だけど俺は、気が乗らないことは、絶対にしないからな?」
伴侶にはコイツが、一人居てくれればそれで良いと、本当にそう思っていた。
それだけに、コイツが言い始めたハーレムなどといったーー突飛な話に乗ってやる気は、俺には毛頭なかったし、オークの娘たちにしても頃合いを見計らって、適当に言いくるめ、理由をつけ……それぞれの部族の元に帰す腹づもりであることを、そのままに伝える。
「良いんじゃなぁい? アタシとしては産めよ増えよで、カンブリア大・爆・発!! って感じの大繁殖ってのが理想だけど♪ アンタの血を引いた赤ちゃんたちなんて……アタシ……自分が、お腹を痛くしてなくても、愛情注ぎまくりの自信があるわよ♬ 100匹でも、200匹でもかかって来いやぁーーーーーー!! こちとらバーレル単位で、無尽蔵に出続けるおっぱい持て余してんのよーーーーーー!! ……あ、どうしよ。……想像するだけで、おっぱい濡れちゃう……」
力強く吠えるネルに「……おっぱい、搾る準備を致しましょうか?」お伺いを立てると「お気になさらず」と、にべもなく。
「……あれ、もう本当に嫌なの……減圧される乳首カップの感触も……機械の動作音も……ただひたすら、ボーっと過ぎるだけの無為な時間も何もかも。……やるならせめて、牛さんに使うアレで一気にやって頂戴……拘束されてボトルに落ち続ける……おっぱいの雫を点々と眺める……あの時間が辛すぎるの……」
『無為』はないだろうと訂正させようとする、そんな俺を遮って――
「ツッガータ! ネェル! わしにばかり走り回らせてイチャイチャするでないわ!」
掃除道具を抱えて戻って来た、ヴィルマのお叱りの声が飛ぶ。
「ハイハイ♪」腕を解いたネルは駆けて行く「ツガータ! おぬしは罰として、ハイチュウを御褒美に、わしに寄越すのじゃ!」
(……罰なのか御褒美なのか……どっちだよ)




