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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
五章:価値観の違いは如何ともし難い

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聞いてませんでした

「……オ、オサケ、モテキタ……ドゾ」

 

 そんな話をしている所に、首から土鈴を下げたゴブリンが、オークたちの(かも)した酒を木椀(もくわん)に注いで運んで来た。ゴブリン語の練習を兼ねて彼らの言葉で、短く礼を言うと――なにやら……過剰なまでの喜びの表情。


(……毒とか盛られてたりしないだろうな)


 戻って行くゴブリンの後ろ姿に目をやり、恐る恐る酒に口を付ける。スピリタスを水か何かのように呷る、この村の奴らの酒と言うこともあって、その点についても警戒したものの……甘酒のような度数の、麦で作ったお(かゆ)といった感じの酒。


(旨くはないけど……不味くもないな。腹に溜まるし、胃が優しく温まるのがいい)


 村の中央に焚かれた火を囲む皆の前で、遺言がクィンヒルデによって読み上げられる。


 内容は「自分の次には、誰々を長に据えよ」「森の火入れは、いつにしろ」「木は切り過ぎるな」「水は汚すな」「狩りの獲物に雌と仔は加えるな」などなど……。


 それぞれ言葉は足りていないように思えたが……。


 実にツォンカパ()()()()()、奴にしては、まめやかな遺言。


 読み上げられる遺言を、渡された酒を片手に、うわの空で聞いていると――周囲は、なにやら静まり返っていた。


「……ツモイ、話を聞け」隣のオークに裾を引っ張られ、注意を促される。


「お? おお? 悪ぃ悪ぃ」


 教えてくれたそいつに、軽く詫びて、そっと辺りの様子を窺うと――その場の皆の視線が、何故か俺に注がれて……?


「……えと、御免。お話良く……聞いていませんでした」


 ツォンカパの身内でありながら、遺言を聞き流すことを、非礼と取られたのかと思い、即座に謝罪の言葉を口にする。

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