担ごうたって、そうはいきませ……ん♪
(……絶対、この子……アイツの血は、引いてないわぁ)
他の2人と比べれば、身長も10センチ~15センチ以上、小柄な――猫を思わせる若干、吊り目気味なオークの娘を見入ってしまう俺。
『親父』と言う語も……きっと部族の長に対しての二人称に違いない。
ヤクザの「親父ィ」的なアレだ。
ウルリーカとツォンカパに対して、そんな失礼極まることを、ぐるぐるぐるぐる取り留めもなく考えていると、ウルリーカの悪態や、俺の様子など気にも留めない様子で――クィンヒルデは話を続ける。
「先日、お亡くなりになられた頌の部族の長、偉大なるツォンカパ殿の御遺言状の開示に、お立合い戴きたく、お招きに上がった次第――」
「……え? 今、なんて?」
色々と考えながら、うわの空だった俺は、クィンヒルデの話を聞き流してしまっていた。
なにか重要なことを彼女は話してくれていたようだったが……。
「死んだんだよ、親父がよ」さもつまらなそうに――
「歳で、ポックリ♪ 逝きやがった。そんで弟子のあんたを呼ぶためにオレらが、この森を方々、ふた月以上も探し回ってたんじゃねぇか……。
お互いに普段から、やりとりくらい出来るようにしときやがれってんだ。あの親父にして、この弟子だ。全く面倒臭ぇ……」
そこまでの話を聞き終わる前に、俺はネルの領域に入り込んで来た3人を その場に置いたまま――村に向けて駆け出していた。
* * *
頌の部族の村。その中央。
数ヶ月、俺がチーズ造りなんかに、のほほんとかまけている間に……。
――村は、それなりに復興を遂げつつあった。あの時とは違い、戻って来た若いオークたちに女、子供たちの姿も目にすることもできる。
若い女性のオークたちを見て、第一に思ったことは
「何故、男と女で……こうも見た目が違うのか」
……という瑣末なもの。




