表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
第五十章:亡羊の嘆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1622/1638

ドラジェの妖精さん

 デシレアが、プレゼントしてくれたバイクを走らせること数十分。


「おにーちゃん! あそこッ!」


 コアラのように背中にしがみついていた義妹が声を上げた。バイクを停めて、デシレアが車体から飛び降り、駆けて行く彼女の後を俺も追う。


 辺りは大質量の粘液が、有機物を取り込むだけ取り込んで、焼き尽くしたかのような 爆心地の跡にも似て――草木一本、生えていない不毛の荒野。


 早いところ ネルに戻って来て貰って、どうにかしないと、色々と問題が生じそう。


 お目当てのモノを見つけた義妹が、春の陽気に見事にマッチした、透明な翡翠色の髪と、若草色のドレスを揺らし、鼻歌を歌って、しゃがみ込んでいた。


 その後ろに立って彼女の視線の先を覗き込むようにすると、義妹は――こちらに首を巡らせ、背中越しに見上げて


「ハカバダイダイスズホコリさん♡」


 と、磯遊びの潮だまりで、ご機嫌な生き物を見つけた子供のように、顔を輝かせる。義妹の指差す先には、彼女の小指の爪のサイズ程に小さくなった――若返った幼い粘菌。


 もはや肉眼では、動いているのかどうかも分からない 儚げな存在と化した、地下世界クレピュスキュルの主。


 その彼を持参したジャムの空き瓶の中に、アーミー・ナイフで掬って移し、


「……お騒がせと、御迷惑をおかけしました」


 菓子折り代わりに持参した、一粒の金平糖と、うどんの切れっ端を御笑納頂くことにした。




 * * *




 伴侶の姿が消えた、広いばかりの寒々しい我が家。


 今となっては狭苦しくも、ネルと初めて一夜を過ごした あのアパートの一室が――酷く懐かしい。


 玄関のホールに辿り着くと、主人の帰りを待っていた、ぴむぴむ君を伴って――クレピュスキュルの主を納めた、瓶を掲げ「ヴィルマにも見せてくる!」と、義妹は駆け出して行く。


(……あんまり、御迷惑を お掛けするんじゃないぞ)

 

 『声』も無い言葉に振り向いて――可愛らしい、まろ眉を怒らせ、敬礼を手向けてくる彼女(ネルと言い……敬礼好きだよね。君たち)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ