決着
ふと湧き上がった疑問に、頭を悩ませようとした――そんな時。噴飯ものの暴挙が、目についた。
先の三弓床弩のオペレーターたちが……槍のような長さの矢に、チーズを括りつける手間を煩わしがり――あろうことか直接 鏃にチーズを突き刺そうとしていた。
「チーズに……金気は禁物だと言っただろうがァ! ブリーフィングを……聞いて無かったのか! 貴様らァ!!」
金気どころか、緑青まで吹いた鋳物の鏃に突き刺すとは、なんたること?!!。
いつもであれば――俺が、おっかないオーク相手に声を荒げるなんて、考えられない事ではあるけれど。
けれども、見て見ぬフリをするには、あまりに許しがたい所業に、火を噴いた俺の剣幕。
……オークたちは、訳も分からない様子で縮み上がっていた。
「いいか! 良ぉく聞け! お前ら! このチーズは……俺と、ネルとが――」
くどくど、くどくどと、俺が口を酸っぱくして……粗末に扱われたチーズさんにたちの無念を思い、語って聞かせてやっていると、
屋敷の熟成室の一角に眠り続けていた、
秘蔵のチーズを召しあがられ――ハカバダイダイスズホコリさんは、届けた俺自慢の一品をお気に召して戴けた様子。
磯辺の固着生物が、糧を得るために用いる蔓脚の様に拡げた擬足を、旗か手でも振るように宙で振り回したあとで、
目の前に押し寄せさせていた、その巨体を――見る見る内に縮めて、一刻ほどで その姿は見えなくなってしまった。
ラスボスを振って湧かせて、急速にお話を
畳もうとしてやがるな?
と、感じられた方も居られた
……やも知れませんが
さにあらずでして。
わりと有名なお話ではあるのですが、
1841年の8月にあったと言う
ウルグアイ 対 アルゼンチン
の艦隊戦で、砲弾代わりに ウルグアイ側が
チーズをぶっ放して――
しかも それなりに被害を与えてみせた……と
言う お話を下敷きにしています。
当時のお話を調べると、この判断を下すまでの
艦長さんのヤケクソっぷりが、目に浮かぶ様で、
もの凄く好きな お話なんですねコレ。
そんな訳で、この回のお話を成立させるために、
早い段階で主人公くんは、奥さんの
おっぱいを搾り、チーズを造り
んでもって、オークのみんなの御神体が
登場した訳だったりします。
しょーもな……とか、仰らないで?
もし宜しければ お読み下さった御感想等を
戴けましたら、大変有難く存じます。
その他にもブックマークや、このあとがきの
下の方にあります☆でのポイントに代えて、
御評価戴いても それを元に参考にさせて
貰いますので、何卒宜しく
お願い申し上げます。
m(__)m




