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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
五章:価値観の違いは如何ともし難い

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……出歯亀なんかじゃ無いやい

「――おい、出歯亀野郎」


 3人の内の中で、一番小柄な――それでも170センチは、ありそうな身長だったが……その彼女から罵声が飛ぶ。「出歯亀野郎」などといった、心無い言葉をかける割には、身体を隠そうともせず、ニヤニヤと笑みすら浮かべて。


 淡く、青い肌のその娘は、手首に巻いていた紐で髪を短いポニーテールに結うと


「死ぬ前にイイ物、拝めたなぁ? オイ」


 ボキボキと指を鳴らし、俺の方にゆっくり近づいて来る。


 この時になって、ようやく自分が――図らずも女性の水浴びを覗く、破廉恥なポジションに存在していることに気づいて


 弁明を諦めて……手にした剣を彼女らの側に放り投げた。


「あん? なんだよ? 剣で裸のオレたちを脅して、無理矢理犯そうとかしねぇのかよ? ……張り合いねぇな」


 なんだか……がっかりした口振り。


 ――こういうところは、俺が最も良く知るオーク、ツォンカパ達そのもの。


 裸の彼女らを凝視し続けるのも後ろめたかった俺は、泉に背を向けた。


 背後で放り投げた剣に向かう彼女らの気配がひとつ。


 耳をそばだてていると――どうやら鞘から剣を抜き放ったのか。


 ……そりゃあね? 裸で水浴びしてるところで、刃物持った男がやって来たなら――押さえられるなら、得物は押さえるよね。


(痛いのは嫌だけど……言い訳無用な、この状況。……せめて覗き魔として成敗されるのだけは……なんとかしたかったけど……もうイイや……潔く斬られよう)


 不可抗力以外の何ものでも無かった訳だけど……それなりの良識は持ち合わせていたつもりの俺。


 かけられた「出歯亀野郎」の一言に傷ついて、笑わば笑えといった――そんな自暴自棄な感じだったりする。

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