君は、大雑把ちゃん
とは言っても話せば分かって下さる懐のふかぁ~い……、ハカバダイダイスズホコリさん(※要、通訳)。地表に現れたからって、やっつける必要も無い。
粘菌さんでも、たまには日光浴したくなる時もあるんじゃない?。自分がやらかした事の大事さから現実逃避全開で――
有機物であれば、何であれ取り込み 養分とするヤバイ御方を見て見ぬフリをすることにして、笑顔で「解散ッ!」と……口にしようとしたところ――オレンジ色の塊が、皿に落とされたゼリーみたいに震えた。
「……現在、時速2キロメートルで移動を開始。進行方向から10日程で王都に到達すると思う……よ?」
どうやら……そうも いかないらしい。そんな訳で、いつもの顔ぶれにガロワ公をプラスしての作戦会議。
あのオレンジ色の粘液の向かう先、その途上には――王国の食糧事情を支える穀倉地帯もあると言う。王国の国民の皆さまには、こちとら なんの恨みも無い。
で、あるのに。こちら側の不始末から、皆々様の食卓事情を貧しくしてしまうのは、気が咎める。
「焼こうゼ! アンタの騎士! 火ぃ噴くだろ!? 焼いちまおうゼ!?」
愛くるしい猫さんを思わせる目を輝かせて、楽しそうに話すのは……他ならぬアホの子。
「お前は……今までの話を聞いて無かったのか?」
呆れ果てたモノを見る表情で、アホの子に視線を向けると、意味する所を察したのか、唇を尖らせて、ウルリーカはボヤキ始めた。
「……え~っ? 知っらねぇよ、んな事ァ。手っ取り早くて良いじゃねぇかよ」
「ウルリーカ……今日、これが終わったら……、一緒に教会に行こう」
アホの物言いに、続いた俺の言葉――場違い過ぎる その台詞は、ここまで自身のコミュ障を恥じる事も無く ひけらかした、呪いのような余韻によるものか。
ただ単に まだアスペ・モードが終了できていなかったからか……。
女衆がお互いの顔を見合わせて、気色ばむ。
「はァ? なぁんで教会なんだよ……辛気臭ェ。ダっリぃ」




